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 Good friends , good books and a sleepy conscience: this is the ideal life.   ―――Mark Twain
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(掲載サイト:Il Continente Antico 志度勇魚様) 長編 完結

階段のどこに位置するかで人の価値は決まるという。
不可視の階段によって厳格な階級制度が敷かれた王国で、修道院育ちのミカエラは「階段で待つ」と言い残した生き別れの叔父を探すため、下克上を掲げて階段へと挑むのだが――。

ContraCosmos」や「大陸篇」と同じサイト様の作品です。

合言葉は「下克上でゴー」(笑)
勝気で努力家、けれど世間知らずで自覚のないお人よしな主人公ミカエラが、陰謀渦巻く宮廷で様々な罠に翻弄されながら自らの出自を探すお話、です。
ミカエラは主人公の主要なタイプである「健気な少女」とはちょっと違います。けれどその分、自分の手と足で壁を乗り越えよう奮起する心には溢れているのかな、と思いました。

他人の裏をかいて利を得るのが当然の世界で、ミカエラは当たり前のことで当たり前のように怒るし、傷つくし、間違ってると思えば決して妥協したりしない。作中で彼女は自分のことを「怒りんぼ」と称しますが、そういう怒りが、時々事態を悪化させることもあるけれど、彼女自身の行動の原動力になるし、もっと直接的な力にもなるんだと思います。
そんなミカエラと対比させるように、彼女の師となる修道院の教師アントンは、喜怒哀楽が非常に掴みづらい、どこか霞がかったように曖昧なキャラクターとして描かれていて、実は途中までそれがどうにも消化不良というか物足りない気分だったりしたのですが……。彼の告白を読んで、すとんと納得できた気がします。

階段の制度というのも、面白かったですね。
この階段には常に罠が付きまとっている。一度足を踏み入れれば決して逃げ出せない、底なし沼のような罠です。この罠こそが、この作品の暗部とも言うべきファクターでしょうか。

宮廷の陰謀を中心に進むお話ですが、あまりどろどろとした書かれ方はされていないので、結構読みやすかったです。
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(掲載サイト:Il Continente Antico 志度勇魚様) 長編 シリーズ

文官オッシア・アルアニスと、彼を取り巻く人々の物語。

あらすじの一文はサイト様より引用させていただきました。
この作品はこれ以外のあらすじが思い浮かばなかった!

オッシア・アルアニスという一人の人物を中心として、彼に関わる人々と共に大陸の歴史の一端を描いた作品です。
群像劇に近いお話かもしれません。
始まりも終わりもない作品群によって形成されたシリーズなので、お話がどのようにして幕を開け、閉幕がどのように訪れたのかというのは説明しがたい。ただ、オッシアという人がどのような青年期を過ごし、どのようにして歴史関わりやがては死んでいったのか、その人生そのものをテーマとしているのだと思います。

かつてご紹介させていただいた「ContraCosmos」という作品と同じサイト様のお話なのですが、こちらのサイト様の作品はどれも、読むたびにどこか舞台でも観たかのような心地を覚えます。
受ける印象が、古典劇と少し似ているんですよね。あくまでも私にとっては、ですが。
そういうサイト様って他に知らないので、そういう意味でもとても面白いなあと思わされます。
 

(掲載サイト:0℃の夢 スイ様) 中編 シリーズ 連載中

雪女王の支配する国で、異国の若き将軍と幼い奴隷の少女は、俘虜とその監視役として出会った。
言葉の通じぬ二人は、鉄格子越しに少しずつ少しずつ心を触れ合わせていく。
その末に待つものは――。

短編連作形式の中編小説です。

季節の巡りが、肌で感じるように読み取れる作品でした。
はじまりは凍てつく雪の国エディルフォーレ。そこで二人を包むのは、ただただ冷たく閉鎖された世界で唯一の温もりです。
少女は名を持たず、銅貨一枚で買われた主人に命じられるまま、定められた時間に俘虜を起こし定められた食事を与えていく。二人は、たった一つの言葉さえも理解し合うことはできません。
けれど、言葉なんてなくても互いの心に触れることはできるんですよ!

二話目からは、後日譚という形でお話は進んでいきます。閉ざされた冬の国から、まるで四季が巡っていくかのように。
少女もまた成長していきます。幼く無知で純粋で、幸福というものを知らなかった少女は、四季が巡るごとに一つ一つさまざまなことを知っていく。
ブランカがもうほんっとに可愛い!
こんな子に、言葉も拙く裾をぎゅっと握って見上げられでもしたら、もう目に入れても痛くないほど可愛がっちゃいそう!

幼い少女の心が花開いていくさまが描かれた、四季の物語。
読んでいて泣けてくるくらいに優しく、愛おしい、素敵なお話でした。
 

(掲載サイト:香炉孤影 河野晶様) 中編 完結

パン屋を営む祖父と二人暮らしの悠馬は、ある日突然見知らぬ世界へ迷い込んでしまった。
知らない光景、知らない言葉。雨の中、途方に暮れる彼に差し伸べられたその手は、悠馬にとって新たな生活の始まりとなり――。

剣も魔法も竜退治だって関わらない、ひとりの青年の異世界における奮闘記です。
突如異世界に飛ばされて、王子様だとか騎士だとかに囲まれて世界の存亡をかけた事件に巻き込まれるのも悪くはない。けれど、そんな荒々しく煌びやかな世界とはきっぱりと隔たった、地道に働いて生きる人々の姿を覗き見るような心温まる異世界トリップだってこんなに素敵じゃないか、と――そう改めて思わせてくれるような、ほのぼのとして優しいお話でした。
異世界には何も、王様や貴族ばかりが住んでいるわけじゃない。町があって、自治体があって、青年団や警察がいて、そしておいしいパン屋さんだってある。そこには、私達が普段過ごしているような、平凡だけれど本当はかけがえのない、当たり前の日常が存在しているはず。
そうした、非日常だけれど日常的な異世界で始まっていく悠馬の生活には、たくさんの優しい人達が現れます。
悠馬自身も初めの頃は言葉も覚束なくて、周囲とのコミュニケーションに四苦八苦。でも、おじいちゃんに大事に育てられた彼は、精神が健やかなんですよね。だから、真剣に頑張る様は読んでいてどこか楽しく、時に微笑ましかったです。

タイトルからもわかるように、パン屋さんのお話なのですが、夜中に読むとほかほか焼き立てパンが脳裏から離れなくなってしまって大変危険です。悠馬の焼いたパンがぜひとも食べてみたい!
アップルパイ食べながら、悠馬に「はちみちゅ」とか言ってもらいたい(笑)
おいしそうな食べ物がおいしそうに描写されたお話が、とっても大好きです。

あ、じい様スキーの方には、にまにましながら読んでいただける魅力たっぷりなおじい様も二大巨頭で登場しますよ、と最後に!
 

(掲載サイト:Olive Cafe 七瀬礼帷様) 長編 連載中 一部R18  ※書籍化により掲載終了

獣人とのクォーターであるリンネアは、故郷の島で気ままな絵描き生活の中、事件に巻き込まれてしまう。
祖父の伝手で獣人始末屋の男・アルフォンソの保護を受け、共に都会で暮らすことになるのだが――。

近未来風の異世界恋愛ファンタジー。世界観的には現代に近いです。
さて、まず何と言っても、お兄さんもといアルフォンソがかっこいい!
色気たっぷりな大人の男で、仕事柄危険な香りを身にまとう影のある男――なのですが、ご多分に漏れず非常に女性受けが良い。でも女タラシじゃなくて女泣かせってところがいいですね。
境遇ゆえに恋愛に対して及び腰のリンネアが、気持ちを押し殺そうとしながらもどんどんアルフォンソに惹かれていく気持ちがよくわかる。
餌付けされるアルフォンソ、大人の男なのにたまにちょっと可愛いですよ。

リンネアとアルフォンソの関係って、勝負に似てる気がします。
彼ら自身にその意識があるかどうかはさておき、リンネアが落ちるのが先かアルフォンソが負けるのが先か、っていう。
ぜひともここはリンネアに踏ん張っていただいて、アルフォンソを打ち負かしていただきたいところですが!

こちらのサイト様の作品は、ストーリー中に作者様の描かれたイラストが挿絵として挟まれているのですが、この挿絵もまた素敵です。
すごくスタイリッシュで、作品の世界を情景として思い浮かべやすい。
イラスト付きのWEB小説は得手不得手あるものですが、個人的にこの絵ならアリだと思いました。むしろ、ばんばん入れてくれても嬉しいです。
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