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(掲載サイト:香炉孤影 河野晶様) 中編 完結
パン屋を営む祖父と二人暮らしの悠馬は、ある日突然見知らぬ世界へ迷い込んでしまった。
知らない光景、知らない言葉。雨の中、途方に暮れる彼に差し伸べられたその手は、悠馬にとって新たな生活の始まりとなり――。
剣も魔法も竜退治だって関わらない、ひとりの青年の異世界における奮闘記です。
突如異世界に飛ばされて、王子様だとか騎士だとかに囲まれて世界の存亡をかけた事件に巻き込まれるのも悪くはない。けれど、そんな荒々しく煌びやかな世界とはきっぱりと隔たった、地道に働いて生きる人々の姿を覗き見るような心温まる異世界トリップだってこんなに素敵じゃないか、と――そう改めて思わせてくれるような、ほのぼのとして優しいお話でした。
異世界には何も、王様や貴族ばかりが住んでいるわけじゃない。町があって、自治体があって、青年団や警察がいて、そしておいしいパン屋さんだってある。そこには、私達が普段過ごしているような、平凡だけれど本当はかけがえのない、当たり前の日常が存在しているはず。
そうした、非日常だけれど日常的な異世界で始まっていく悠馬の生活には、たくさんの優しい人達が現れます。
悠馬自身も初めの頃は言葉も覚束なくて、周囲とのコミュニケーションに四苦八苦。でも、おじいちゃんに大事に育てられた彼は、精神が健やかなんですよね。だから、真剣に頑張る様は読んでいてどこか楽しく、時に微笑ましかったです。
タイトルからもわかるように、パン屋さんのお話なのですが、夜中に読むとほかほか焼き立てパンが脳裏から離れなくなってしまって大変危険です。悠馬の焼いたパンがぜひとも食べてみたい!
アップルパイ食べながら、悠馬に「はちみちゅ」とか言ってもらいたい(笑)
おいしそうな食べ物がおいしそうに描写されたお話が、とっても大好きです。
あ、じい様スキーの方には、にまにましながら読んでいただける魅力たっぷりなおじい様も二大巨頭で登場しますよ、と最後に!