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 Good friends , good books and a sleepy conscience: this is the ideal life.   ―――Mark Twain
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(掲載サイト:パールがきえるまで  にじむら蓮子様) 長編 完結

普通の人には見えないはずのものが見える中学生、リン。
孤独を抱える彼女は、やさしく出迎えてくれる空気を求めて今日も「ビヨンド」を訪れる。

主人公であるリンと、喫茶店の店長・ルイ、そして黒猫のクロ。
ゆったりとしたビートルズの音色に包まれた喫茶店という閉鎖空間の中で、静かに綴られるお話です。
実際には喫茶店の中だけでストーリーが進んでいくわけではありませんが、やはりこのお話はビヨンドの中で始まり、ビヨンドの中で終わる――そんな印象を受けました。
これは、いわゆる幽霊の見える女の子の出会いと別れ、成長の話なのですが、同時にルイの再生の話であり、クロとサユリの旅立ちの話でもあるのかな、と思ったりもします。
とても優しくて、少し切なくて、クロの言葉ではありませんけれど、前を向いて生きていこうと思えるような、そんな素敵なお話です。

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(掲載サイト:More than words 河東悠美様) 長編 完結

ある日、夫が帰ってこなくなった。
祝福してくれる人も少ない中で結婚した也美と哲也。新婚半年で家出をした夫の帰りを待ちながら、也美は弟の聡明や同僚の修平くんに支えられて日々を過ごしていく。

とても静かで優しい言葉たちによって紡がれる、切なくもふんわりとした素敵な恋愛小説だなぁと思いました。
初めにこの作品を読んだのは、もう何年も前のことです。ふと思い出した時に読み返したくなるお話というのは、このサイトさまに置かれている作品のどれもに共通するのですが、中でもこちらは印象深いものだったりします。
ラブストーリーという言葉の持つ甘さはないかもしれませんが、しんと静寂に満ちた夜の月明かりのようなお話です。

也美さんという女性は、とにかく「待つ」ひとです。
けれど、悲しいこと辛いことを心の内側に隠して何でもないような顔で微笑む強さを持つひとでもあります。
彼女が高校時代に出会って一生を共にしようと決意した相手、哲也は逆に、弱いひとだったのかもしれません。その弱さは、彼がそれまでずっと傷つけられてきたゆえのもので、その傷を癒すことも忘れることもできずに、結局也美をも傷つける結果になってしまった。
修平くん(どうしても、くんをつけて呼んでしまいます/笑)もまた過去に傷を持っていますが、彼はとても安定したバランスのひとですね。まさに癒し、です。

読み終わった瞬間に、ほう、とため息をついてゆったりとお茶でも飲みたくなりました。

この作品は、「Babyleaf」という別のお話ともリンクしていまして、作中の出来事も少しずつ繋がっています。
聡明と、彼が家庭教師をしている女子高生の女の子が出てくるのですが、こちらもお薦めです。女の子の等身大でリアルな心情が、とても素直に描かれていて、「月満ちたり~」とはまた違った素敵さを持つ作品です。

(掲載サイト:御伽草紙 吉田和代様) 長編 完結

新米刑事の三枝がコンビを組む相手は、検挙率は抜群なれど一癖のある性格で周囲を振り回してくれる先輩刑事・芦屋。
サイレントキラーと呼ばれる連続殺人犯が世間を賑わす中、二人は闇金にまつわる自殺を担当するが――。

普段WEB小説ではあまり読まないタイプの作品だったのですが、シリアスな中にも芦屋の破天荒な行動や三枝の若さゆえの青臭さなど、時にふっと笑えるようなエピソードが挟まれていてとても面白かったです。
三枝と芦屋のコンビがいいですね。芦屋の行動に振り回されたり何とかそれをフォローしようと頑張る三枝には応援したくなりますし、そんな芦屋がたまに先輩らしく三枝を導く時には微笑ましさを感じたり。
推理ものではないけれど、単なる刑事ものでも主人公の成長物語でもない。
あえて挙げるなら「刑事もの」なのかもしれませんが、それら全ての要素が絡み合った上に、最後に訪れるどんでん返しがさらに作品に深みを与えているように思います。
そのどんでん返しの的であるとある人物の心理に共感できるか否かはともかく、それに至るまでの経過には如実に現代の社会というものが表れているというか――ひどく、難しい問題だなぁとも感じます。

こちらのサイトさまには、この他にも現代コメディやSF、ミステリーからFTに至るまで様々な作品が掲載されています。
ジャンルに囚われない才能というものも、すごいなぁと思いますね。

(掲載サイト:夢が跡。 ゴーストライダー様) 中編 完結

小学生のタカヒロにとってたった一人の大切な友だちは、ハルガという名前の妖精だった。
共働きの両親は忙しくて家ではいつも一人ぽっちだったが、ハルガがいるからタカヒロは寂しくない。
けれど、少しずつタカヒロも大人になっていく。
子どもにしか見えない妖精と人間の男の子の友情、そしていずれ訪れる別れの物語。

ほのぼのと優しく、ちょっと切ないお話でした。
長い間を生きてきたハルガだけれど、その中で誰かと一緒に過ごせる時間というのはとても貴重なもので、だからこそ自分を大事な友だちだと言ってくれるタカヒロの存在はハルガにとっても特別なもので。
タカヒロが少しずつ精神的に成長していく様を見守るハルガの、別れを覚悟しながらもタカヒロの中の「子ども」を愛しく思うその気持ちが切なかったです。

この作品では、ほとんどの子どもが小学生のうちにハルガを見れなくなってしまいますが、実際に子どもが大人への第一歩を踏み出す瞬間っていつなんでしょうね。
少し、考えさせられる部分もありました。

(掲載サイト:絡繰式文庫 袋小路はまる様) 長編 完結

父親を何者かに殺され、自身も刀傷を負って火事の中救出された祐一郎。
住み慣れた地を離れて伯母の家に身を寄せるも、事件を追ううちに耳に入ってくる謎の言葉――クナト。
父は何故、誰に殺されたのか。クナトとは何を示す言葉なのか。
失われた記憶を求め、祐一郎は従兄の青年と共に事件を辿っていく。

記紀神話を題材とした、推理と伝奇の入り混じる現代物の作品です。
私はさほど記紀神話に詳しいわけではないのですが、とても面白く読むことができました。
知っている神さまの名前が出てくると何だか嬉しくなりますし、そんなに堅苦しいお話ではないのですが、勉強にもなるなぁと読みながら思いました。
そうそう! この作者さまの書かれる文章も、すごく好きです。日本語の美しさを再認識させられました。
きらきらしいという意味ではなく、程よい重さの単語を絶妙なセンスで使われるというか――情緒の感じられる文章は、読んでいてもとても気持ちのよいものだと思います。
また、謎が解き明かされていく過程も、どきどきして楽しいものですね。推理物の醍醐味です。

この作品の本編は男性の方でも読んでいただける内容なのですが、本編後の日々を綴った番外編(地下書庫に掲載されています)には、女性向けの描写があります。そういったジャンルの苦手な方は、ご注意ください。
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