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 Good friends , good books and a sleepy conscience: this is the ideal life.   ―――Mark Twain
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(掲載サイト:ワカメノ浅知恵 ちなこ様) 長編 完結

時は大正、吉原遊郭で太夫の座につく汀は香春郭一の遊女だった。
幼い頃に親類に売られた彼女には、太夫として日々を過ごす中で唯一こころに住まわせる人がいた――。

とても切ない、恋愛小説です。
和司と再会するまでの汀は、どこか亡羊と夢の中でまどろむようにして暮らしている雰囲気があり、それがどこか浮世離れした穏やかさとなってほかの遊女たちとは違うように思わせる。現実を見ていないというか、周囲のあらゆるものや己自身に対してまで、とにかく何ら執着心を抱けずにいるよう。過去の思い出を胸に、このまま遊郭で客の相手をしながらいつか静かに死んでいくのだろう、という諦めの境地にいるんですよね。
彼女の遊女としての名は「汀(みぎわ」というのですが、これはみなぎわ、水際のことを指す言葉です。夢とうつつの境目、そして生と死の境目に身を置く彼女自身をさりげなく指し示す名前のように感じられました。女将は、何を思ってそう名づけたんだろう、とも思います。

情感豊かでしっとりとした、素晴らしい恋愛小説だと思いました。

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